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臨床について

各疾患説明 脊椎・脊髄疾患

脊椎・脊髄疾患

脊椎(いわゆる背骨)は頭蓋骨と連続しており、脊髄は脳と連続して脊椎の中を下降しています。脊髄の中には脳からの信号を伝えたり、逆に脳へ信号を送る神経が束になって走行しています。また右半身・左半身の神経が接近して走行していることも脊髄の特徴です。

我々は脊椎・脊髄の以下のような疾患を主に治療しております。

脊髄腫瘍

脊髄の中に発生する髄内腫瘍と脊髄の外に発生して脊髄を圧迫する髄外腫瘍に分かれます。発生する頻度は10万人あたり1~2人で、脳腫瘍の1/5~1/10程度と比較的珍しい病気です。症状は発生する部位によりますが、両手のしびれや両足の運動障害、排便排尿の障害などで発症することが多いです。

髄内腫瘍としては上衣腫・星細胞腫の頻度が高いです。上衣腫は脊髄内の髄液の通路の壁の細胞から発生する腫瘍で多くの場合手術的に全摘出が可能です。星細胞腫は神経組織そのものから発生する腫瘍で、手術で全摘出困難な場合が多く、残存腫瘍に対しては放射線療法などを行います。

脊髄腫瘍


髄外腫瘍は神経根から生じる神経鞘腫と脊髄周囲の硬膜から生じる髄膜腫の頻度が高いです。どちらも手術にて摘出が可能です。

脊髄腫瘍

脊髄腫瘍による症状は、たとえ手術で腫瘍が全て摘出できてもたちどころに治るものではないことがほとんどです。これは脊髄が脳と同じく中枢神経として再生しないことに起因します。このためこのような疾患の手術後には、リハビリテーションが必要になります。

 

脊髄空洞症

小脳の一部(扁桃)が下垂するために髄液の流れが障害され、脊髄の中に水がたまって空洞を形成する病気です。小脳の下垂自体は生まれつきのもので、通常30年くらいの経過で症状を発現しますが中には2歳くらいで症状を発症したり、逆に70歳になっても症状を呈さずに偶然発見されたりすることもあります。主な症状は手や脇腹の神経由来の痛みや手の筋力低下などです。

大後頭孔減圧術という手術で髄液の流れを回復させることで、病気の進行が抑えられることが多いです。

 

脊髄腫瘍

頚椎症性脊髄症

脊髄は脳と同様に外部から直接圧迫されないように骨に囲まれた空間に入っています。しかし、この骨の空間に椎間板ヘルニアが入ってきたり、脊椎の変形や骨の中にある靱帯が厚くなったり骨化して空間自体が狭くなった場合には逃げ場がないため脊髄が圧迫を受け症状が出現します。軽症では両手のしびれや使いにくさ程度ですが、重症になると歩行不能になり車椅子が必要になります。

治療は手術的に脊髄の圧迫を解除します。この疾患も術後に症状の改善が期待できますが、その程度は様々です。一般に重症のもの、症状の進行の早いものは術後の回復が難しいです。

脊髄腫瘍

腰部脊柱管狭窄症

歩いたり、立ったりすると次第に足がしびれ、力が入りにくくなり、座って休むとしびれも改善し、力も入りやすくなる状態を繰り返すことを間歇性跛行と言います。多くは腰の骨の変形や靱帯、椎間板の膨隆により神経が締め付けられた状態であるために生じます。厚くなった靱帯をとる手術にて多くの場合に症状の改善が得られます。

脊髄腫瘍

脳脊髄液漏出症候群

脳や脊髄のまわりを満たしている髄液が漏れることによって、脳脊髄腔の圧が低下するために起立性の頭痛を主体とした症状が慢性的に続く病気です。

原因はわからない場合もありますが、ほとんどはスポーツや交通事故などの外傷が原因のことが多く、他、腰椎麻酔後、整体や指圧などが言われています。

当院では平成23年10月14日に厚生労働省の研究班より公表された「脳脊髄液漏出症(脳脊髄液減少症)に関する画像判定基準・画像診断基準」をもとに、頭部・脊髄MRI、RI脳槽・脊髄液腔シンチグラム、脊髄造影CTにて検査を行っています。外来にて問診・診察を行った後この疾患が疑われるものについてはMRIを外来で施行し、さらに必要があればシンチグラムとCTを入院にて施行しています。入院期間は通常3-4日間です。

この疾患であることが判明しても、安静のみで症状が改善することが多いです。それでも症状が改善しない場合は、硬膜外自己血注入療法を考慮します。硬膜外自己血注入療法は先進医療の一つであり、当院では現在申請を準備している段階です。

脊髄腫瘍