滋賀医科大学 脳神経外科学講座

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ごあいさつ

 令和5年4月1日付で、滋賀医科大学脳神経外科学講座の教授として着任致しました。半田譲二教授による昭和54年の当科開設以降、松田昌之教授、野崎和彦教授に続き、私で4代目となります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
私が脳神経外科を志した動機は、学生時代の臨床実習を通じて、患者さんに行った治療の結果が如実に表れることに感動したことです。その過程において、時には大きな困難も伴いますが、だからこそやりがいと魅力を感じました。これまで約30年の臨床経験を経た現在も、その思いに変わりはありません。

 脳神経外科学会の定義によれば、「脳神経外科とは脳、脊髄、末梢神経系およびその付属器官(血管、骨、筋肉など)を含めた神経系全般の疾患のなかで主に外科的治療の対象となりうる疾患について診断、治療を行う医療の一分野」とされています。つまり、脳・神経疾患に対する高度な外科治療のみでなく、脳ドック、一般的な救急対応、カテーテル検査などの画像診断、放射線治療、生活習慣の改善指導も含めた内科治療、リハビリテーション、急性期治療後の長期的なフォローアップなど、脳神経外科医の守備範囲は多岐にわたります。従って、わが国では、脳神経外科は一般外科、内科、産婦人科、小児科などと共に「基本的診療領域」として医学を支える根幹の診療科の一つとされています。

 大学病院の重要な役割の一つは、脳卒中、脳腫瘍、先天性疾患、脊椎・脊髄疾患、機能性疾患など脳神経外科の幅広い疾患に対して、最善の医療を提供することです。治療法や診断技術も日々進化しています。最新の知識と技術を学び続けることは、大学病院のスタッフとして当然のことですが、それだけで患者さん一人ひとりに最適な医療を提供できるとは限りません。最新のエビデンスを踏まえた上で、個々の治療上の判断においては、「自分の家族にも同じ医療が行えるか?」と常に自問する姿勢をスタッフ全員で共有し、患者さんが安心して受診できる脳神経外科を目指します。

 教育とともに、研究を通じて医学の進歩に貢献することも、大学の重要な使命です。脳神経外科は、顕微鏡手術の導入で飛躍的に治療成績が向上し、その後、血管内治療や内視鏡手術の登場で、より低侵襲で安全な治療も可能となりました。更に、神経再生医療などの機能回復を目指した研究も日進月歩で進んでいます。手術手技に関連したものに留まらず、疫学や画像診断など研究の対象は非常に広く、「自分に合った道」を見つけやすいこと、多様な生き方ができることも脳神経外科の魅力です。それぞれが充実感を持って働けるように、自由闊達に議論できる雰囲気を大切にしながら、「創造力のある脳神経外科医」を育成したいと思います。少しでも興味のある方は、気軽にお問い合わせください。より良い医療の追及を通して社会に貢献し、自らも人として成長する、そのようなチームを皆さんと一緒に作りましょう。

滋賀医科大学医学部医学科脳神経外科学講座

教授 吉田 和道