滋賀医科大学 脳神経外科学講座

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臨床活動

救急部との高度救急医療体制

2014年に新規開設されたヘリポートによる滋賀県高度救命医療体制に参加しています。

ヘリコプターによる患者搬送 ドクターヘリ
当大学に新設されたヘリポートで患者様を受け入れます。 ヘリポートに待機するドクターヘリ

脳神経内科との脳梗塞急性期治療体制

脳神経内科と脳神経外科との共同診療で、脳梗塞急性期治療であるt-PA静注療法やカテーテルを用いた血栓回収療法を実施しています。

内頚動脈急性閉塞の再開通療法(その1) 内頚動脈急性閉塞の再開通療法(その2)
内頚動脈起始部(赤矢印)で血管が閉塞し、そこから先への血流が途絶しています。 血栓吸引カテーテルを用い治療を行っているところです(頚動脈側面像)。
内頚動脈急性閉塞の再開通療法(その3) 脳神経内科との共同カンファレンス
血栓吸引カテーテル及び頚動脈ステントを用い、再開通が得られました。 脳卒中の診療・治療方針に対しては脳神経内科と連携して定期的なカンファレンスを行っています。

母子診療科との胎児・新生児診療体制

高リスク妊産婦の診療に際し、胎児期からの画像診断(胎児MRI)を駆使し、計画的出産後の神経修復手術を実施しています。

小児腫瘍科との共同化学療法

小児脳腫瘍に対し本院小児腫瘍科の管理のもとに、集学的化学療法(抗がん剤)を実施しています。長期間の入院を必要としますが、院内学級(瀬田分校)の併設などよりよい療育環境の提供を実施しています。

 

小児科病棟に併設された院内学級

5階小児科病棟(写真左)に瀬田東小学校の分校(写真右)が併設されており入院中の学習をサポートします。

手術中蛍光血管撮影装置

手術顕微鏡を配備しており、インドシアニングリーン(ICG)を用いた術中蛍光撮影を行うことができます。脳動脈瘤・脳動静脈奇形・バイパス手術などで手術の安全性・確実性の向上が期待できます。

 

脳動脈瘤ネッククリッピング術

写真中央やや上寄りに脳動脈瘤が確認できます(青矢印)。写真右は蛍光撮影。

動脈瘤にクリップをかけたところです(写真左)。蛍光撮影(写真右)でも動脈瘤内の血流は消失しています。

 

手術中脳血管造影検査(ハイブリッド手術室)

手術室内に高精度脳血管造影装置を完備しています。以前であればカテーテル検査室と手術室とは別室であったため同時治療は不可能でしたが、ハイブリッド手術室の稼働により、外科的血行再建術と脳血管内治療の同時治療が実施できます。

 

ハイブリッド手術室

当院手術室に設置されたハイブリッド手術室

Functional MRI

脳活動を画像化することで手術前に脳機能局在を明らかにし、治療計画の立案に役立てています。

Tractgraphy

大脳白質の繊維を画像化することで、脳機能の連絡路を明らかにし、治療計画の立案に役立てています。

 

手術中電気生理学的モニタリング

MEP(運動)、SEP(感覚)、VEP(視覚)といった大脳機能を手術中にモニタリングすることで、手術実施に役立てています。手術中に皮質脳波を検討し、てんかん原性病変の摘出に役立てています。 AMR(異常筋収縮反応)を検出することで顔面けいれんに対する微小神経血管減圧術(ジャネッタ術)の治療効果向上に役立てています。C-NAPs(持続的聴覚神経活動電位)を検出することで聴神経腫瘍摘出術などで安全性の向上に役立てています。

5-ALAによる脳腫瘍蛍光標識

正常の脳組織との境界が不明瞭な脳腫瘍の摘出の時には、その境界を見極めるために特殊な色素である5-ALAを事前に体内投与(経口から内服していただきます)し、手術時に特殊な光を照射することで、脳腫瘍のみを赤色に発光させることを行い、残存腫瘍を極力少なくすることに努めています。

5-ALAによる腫瘍蛍光標識

赤色に発色している部分が腫瘍組織です。

神経内視鏡による経鼻的下垂体部腫瘍摘出術

顔面・頭部に一切傷をつけることなく鼻孔から神経内視鏡を使用して下垂体部腫瘍摘出を行っています。神経内視鏡による下垂体部腫瘍摘出の豊富な経験を有しており、より安全に、より確実な摘出を目指しています。

 

経鼻的下垂体部腫瘍摘出術(神経内視鏡)

写真左)褐色調の腫瘍組織(青矢印)を内視鏡下に摘出しています。

写真右)腫瘍が摘出され、その奥の視神経(青矢印)が確認できます。

覚醒下手術

大脳機能の温存と、腫瘍の最大摘出を両立させるため 麻酔科の協力のもとに覚醒下手術を行っています。患者様の状態や腫瘍局在などにより、実施できる症例は制限されますが、上記目的を達成しています。

覚醒下手術(その1) 覚醒下手術(その2)
全身麻酔下に開頭操作を行います。 術中ナビゲーションを行いながら安全に摘出可能な領域は全身麻酔下に摘出します。
覚醒下手術(その3)
一旦全身麻酔から覚醒し電気生理的検査・言語検査・運動機能検査を行いながら摘出範囲を決定します。

バクロフェンポンプ留置療法

各種の脳疾患や脊髄疾患、先天性・後天性を問わず 痙性麻痺の状態にあり、著しく日常生活・介護に障害を有する患者様に、バクロフェン持続注入装置による治療を提供しています(治療効果の有無を判定する必要があり、すべての患者様に適応できるわけではありません)。

ITB療法ウェブサイトへ

脳血管内手術

今や脳神経外科の中で一般的な治療となり、本治療なしでは脳疾患の治療は成立しません。本学では国内でもいち早く同治療を取り入れ、その黎明期から取り組んでまいりました。動脈瘤コイル塞栓術、頚動脈ステント留置術、硬膜動静脈ろう治療だけでなく、脳動静脈奇形摘出術前塞栓、脳腫瘍摘出術前塞栓など、最終的に外科治療が必要な疾患であっても、その安全性を高めるために積極的にカテーテル治療を実施しています。

頚動脈ステント留置術
術前の血管撮影(写真左)で内頚動脈起始部に高度狭窄を認めます(赤丸)。 頚動脈ステントの留置により狭窄が改善しています(写真右)。

脳動脈瘤コイル塞栓術
術前の血管撮影(写真左)で脳底動脈瘤を認めます(赤丸)。 コイル塞栓を行い(写真右)、動脈瘤は描出されなくなっています。

頭蓋底手術

脳腫瘍の摘出は脳組織の圧排を必要とすることが多いのですが、頭蓋骨を必要十分に除去(当然再建します)することで、脳の圧排を最小とし腫瘍を摘出する試みをしています。これを頭蓋底手術と呼んでいます。