滋賀医科大学 脳神経外科学講座

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急性硬膜下血腫

大きな衝撃や回転加速力による脳実質・脳表の血管の損傷が原因で、脳を覆う硬膜と脳との間に急速に血腫が貯留することで生じます。血腫が少なく脳の損傷もない場合は予後が良いことも多いですが、受傷直後は目立った症状がなくても数時間の経過で症状が進行することもあり、注意深い経過観察が必要です。血腫が多く脳の損傷がある場合は受傷直後から意識障害や手足の麻痺などの症状を伴い、生命に危険が及ぶ場合もあります。
診断はCT検査で行い、頭蓋内、脳の表面に三日月状の血腫を認めます。血腫の量や脳への圧排の程度、全身状態や症状などから手術を行うかを総合的に判断します。
手術では開頭手術による血腫の除去と出血源の止血を行います。脳のダメージのため脳が急激に腫脹してくる場合には、術後も頭蓋内圧をコントロールするため頭蓋骨を一時的に外したままにしたり(外減圧術)、数日間は低体温・全身麻酔下で脳の代謝を抑え、点滴で抗浮腫薬を投与します。手術で救命できても麻痺や意識障害などの後遺症が残ることも多く、手術を要する重篤な急性硬膜下血腫では死亡率が60%程度とされており、予後の悪い病態の一つです。