
脳挫傷
頭部外傷により脳そのものがダメージを受けることを脳挫傷といいます。①直接打撃により打撲箇所の直下の脳が挫滅する、②頭部外傷により頭部に加速する力や回転する力が加わり、頭蓋骨の中で揺さぶられた脳が周囲骨構造にぶつかり挫滅する、などの成因が知られています。重症脳挫傷では、損傷した脳への血液循環障害で脳浮腫が生じ、さらに周囲の脳や血管を圧迫して脳梗塞を生じることがあります。頭痛、損傷箇所に応じた種々の神経症状(言語障害、運動麻痺、視機能障害など)、けいれんなどを呈しますが、脳挫傷が広範で脳腫脹を呈する場合には生命に危険が及んだり、意識障害などの重篤な後遺症が生じます。
診断にはCT検査やMRI検査を行います。受傷直後の画像所見でははっきりしなかった脳挫傷であっても、時間経過ともに明瞭化することがあります。
生命に危険が及ぶ可能性がある場合は、救命を目的として手術加療を必要とすることがあります。手術では脳幹、周囲の脳への圧迫を防ぐため、開頭して頭蓋骨だけを外したままにしたり(外減圧術)、損傷した脳を切除 (内減圧術)することもあります。挫滅した脳が腫脹してくる場合には、頭蓋内圧センサーを留置したり、数日間は低体温・全身麻酔下で脳の代謝を抑え、点滴で抗浮腫薬を投与することがあります。後遺症が残る場合には長期間のリハビリテーションが必要になります。
