小児脳腫瘍
小児の脳腫瘍は成人と比べて種類が異なるものも多く、また同じ種類の腫瘍であっても治療方法が異なることもあります。当科では小児の脳腫瘍に対して、小児科とチーム医療を行って治療しています。
水頭症
様々な原因で、髄液が脳内に貯留し脳を内側から圧迫する病態です。放置すると頭部の拡大や発達の遅れにつながることがあり、積極的な治療が必要です。
治療法は脳内視鏡による第3脳室底開窓術と髄液を頭蓋外に排出する髄液シャント術があり、個々の症例でどちらが好ましいか異なります。当院では両方の手術を施行しています。
脊髄髄膜瘤
脊髄が背中から突出したまま出生する病気です。出生後すぐに手術を行わないと脱出した脊髄の部分から細菌が脳内に入り、生命が脅かされることになります。当科では出生前に産婦人科と協議し安全に分娩されたのち、NICU(新生児集中治療室)と合同でこの疾患の治療に当たっています。
また成長したのちも下肢の運動感覚障害や排尿・排便の障害などのため、定期的な外来通院が必要です。現在多くの患者さんが当科の外来で治療を続けています。
潜在性二分脊椎(脊髄脂肪腫・先天皮膚洞)
脊髄髄膜瘤の様に出生直後より病変が明らかなものではなく、脊髄に皮下の脂肪が連続した形で残ってしまう脊髄脂肪腫や、皮膚と脊髄が分離せず連続してしまう皮膚洞というような病気があります。生後数ヶ月以内に腰仙部の皮膚異常(皮膚の陥没や皮膚の膨隆、色素斑など)で見つかる場合と、もう少し大きくなって尿の問題として主に泌尿器より紹介される場合があります。治療の時期やその必要性については児の発育や症状などについて定期的な受診を行い考えていきます。治療後も、排尿や下肢機能の検査、脊髄MRIの検査など定期的に経過観察を行っています。
付近の小児科や産婦人科より多くのご紹介をいただいております。おしりの割れ目より頭側に皮膚の陥没や皮下脂肪の隆起がある場合や正中からずれている陥没、陥没の周囲がふくれているなどは当科への受診をお勧めします。また背部の血管腫や局所的な多毛なども脊髄に異常がないか調べる必要があり場合があり、当科への受診をお勧めします。