
高血圧性脳出血
脳出血・脳梗塞・くも膜下出血の3疾患をあわせて脳卒中と総称し,脳出血はそのうち,おおよそ20%程度を占めます.長年に渡り,脳出血は死亡原因の第1位を占めておりましたが,脳出血最大の原因が高血圧で,それに対する減塩などの降圧治療が功を奏し,現在ではその地位を他の疾患に譲っております.
滋賀脳卒中・循環器病登録研究からの(高血圧以外の脳出血も含む)データでは,10万人あたり男性60人・女性50人/年くらいの発症数で,やや女性の発症年齢が高い傾向があります.また発症した方の70%に高血圧を認めておりました.
脳出血はその部位によって様々な症状を引き起こしますが,多くの部位で意識障害を強く認めます.そのほかに運動麻痺や感覚障害,また呼吸障害など深刻な症状を呈することがあります.
治療には保存的治療と外科的治療があります.外科的治療はあくまでも重症の場合に勧められますが,血腫の圧迫を取ることでリハビリテーションによる効果の立ち上がりを期待して,内視鏡手術や開頭手術により血腫を取り除き,数ヶ月後の機能予後を改善しようと当科では積極的に外科的治療をカンファレンスで合議し,介入方法を決定しております.

右被殻出血術前後(内視鏡使用)の写真
左 発症直後のCT
右 内視鏡血腫除去術直後のCT=きれいに血腫が除去されていることがわかります