滋賀医科大学 脳神経外科学講座

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海綿状血管腫

海綿状血管腫は脳や脊髄に発生する海綿状に膨らむ異常血管の塊で、人口の0.5〜0.7%の方にあると言われております。
多くは無症状で偶然見つかることがほとんどですが、時に出血して増大し、てんかん発作や神経症状を呈することがあります。出血は大きくなることは少ないですが、一度出血をすると再出血 (0.7〜6%)することが多く、症状が悪化しやすくなります。
80%は孤発性で病変は1つしかなく遺伝性はありません。しかしながら、残りの20%は遺伝性があり、脳内に海綿状血管腫が多発しやすいことが知られています。また遺伝形式は常染色体優性遺伝で遺伝子を持つ親の子は1/2でこの病気を持つこととなります。
無症状で発見された場合は保存的に画像経過観察とされることがほとんどですが、出血を起こし症状のある場合には外科的治療を考慮します。手術前に様々な検査を行い、安全に摘出できるかどうかをカンファレンスで合議し、手術加療を行います。安全に手術ができないと判断した場合には、定位放射線治療を考慮することもあります。

 

40歳代の女性:顔面神経麻痺、顔面の感覚障害、右の上下肢麻痺で発症した脳幹部の海綿状血管腫

術前の頭部MRI(図1)では、左の脳幹に海綿状血管腫と大きな血腫を認めています。亜急性期に開頭術を行いました。小脳の溝(水平裂)を剥離して脳幹部に到達し(図2)、血腫と海綿状血管腫を摘出しました。
術後2か月後のMRI(図3)では、病変と脳幹の浮腫(腫れ)が消失しています。術後のリハビリテーションを経て、日常生活に戻られました。