もやもや病
大脳に血液を供給する内頚動脈が、徐々に狭窄し、閉塞に至る病気です(図1)。小児や若年の成人など様々な年代で発症します。内頚動脈が狭窄すると、不足した脳血流を維持するために、本来は細い血管が増生しバイパス経路(もやもや血管)を形成します(図2)。これらの代償にも関わらず脳血流が不十分な場合は脳虚血 (脳梗塞)を発症することがあります。また、もやもや血管に過度な血流のストレスがかかることで、成人になってから脳出血を発症することもあります。小児は大半が脳虚血で発症しますが、成人の場合は30~50%が脳出血で発症すると報告されており、小児と比較して脳出血の割合が高くなります。
脳ドックなどの健診で、自覚症状のない無症候性もやもや病が発見されることもあります。

血管吻合術
脳血流の著しい低下を認める患者さんや、脳出血で発症した患者さんに対して、脳梗塞や脳出血の再発を予防するために外科治療(バイパス術)を行うことがあります。
バイパス術には、頭皮を栄養している動脈を脳表の動脈に吻合する直接バイパス術と、筋肉など血流の豊富な組織で脳表を覆うことで、脳血流を補うための新たな血管が新生することを期待した間接バイパスがあります。
図3は代表的な直接バイパス術である浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術の手順を示しています。頭皮を切開した後に、皮弁から浅側頭動脈を剥離します。続いて開頭を行い、硬膜(脳表を覆っている厚い膜)を切開した後に、血流の低下している中大脳動脈 を露出します。手術用顕微鏡を用いて浅側頭動脈と中大脳動脈を吻合し、バイパスを作成することで脳血流が増加します。
直接バイパス術は高度な技術を必要としますが、術直後から確実な脳血流増加が期待できます。間接バイパス術は、手術自体の難易度は高くなく、短時間で終わることが長所ですが、血管が新生するまでの間は血流増加が期待できないことや、成人の場合では、そもそも血管新生が起こらない場合も多いこといった短所があります。
当科では、可能な限り、直接バイパス術に間接バイパス術も併用する複合バイパス術を行っています。


