滋賀医科大学 脳神経外科学講座

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もやもや病

大脳に血液を供給する内頚動脈が、徐々に狭窄し、閉塞に至る病気です。小児や若年の成人など様々な年代で発症します。内頚動脈が狭窄すると、不足した脳血流を維持するために、本来は細い血管が増生しバイパス経路を形成します。これらの代償にも関わらず脳血流が不十分な場合は脳虚血 (脳梗塞)を発症することがあります。また元々細い血管に過度な血流のストレスがかかることで脳出血を呈することもあります。発症形式は小児と成人例で異なり、小児は脳虚血で、成人は脳出血で発症することが多いとされます。
脳血流の低下を認める場合は、脳梗塞や脳出血の発症を予防するために外科治療を行うことがあります。


図:内頚動脈が黄色矢印部で狭窄している

血管吻合術 (浅側頭動脈−中大脳動脈吻合術)

全身麻酔で行う外科手術です。頭皮の動脈 (浅側頭動脈)を剥離しドナーとして確保します。続いて開頭術を行い、動脈狭窄の末梢にあたる、血流の低下している脳動脈 (中大脳動脈の分枝)を露出します。頭皮の動脈と脳動脈を顕微鏡手術で吻合し、頭皮の血管から脳動脈への血流のバイパスを作成し脳血流を確保します。さらに頭蓋骨に付着する筋肉などを脳表面に接着させることで、筋肉から脳表へ自然に発生する吻合を作成することもあります。

図:左は吻合前。真ん中は吻合直後の写真です。右図のように術中に蛍光色素を用いて吻合血流が良好であることを確認します。
左図:本来脳を栄養しない外頚動脈から,手術の吻合を経由して脳の動脈が広く描出される
右図(脳血流検査):術前は両側の大脳の血流が後頭葉より低いが,術後は全体に改善

もやもや病は厚生労働省が指定する特定疾患です。下記サイトもご覧ください。
特定医療費(指定難病)助成制度の概要(滋賀県)