
頚動脈狭窄
生活習慣病 (高血圧、糖尿病、高脂血症など)や喫煙、加齢などの影響で、全身の血管の壁にコレステロールなどが蓄積したプラークが形成されます。この変化を動脈硬化と呼びます。動脈硬化は脳に血液を送る頚動脈においても生じやすく、血管の壁が厚くなり血流の通過する内腔を狭めたり (図1)、壁に蓄積したプラークやその表面に付着した血栓が血流に乗って脳に運ばれたりすることで、脳梗塞を来します。狭窄の程度に応じて、内科治療や外科治療を選択することが一般的ですが、当科では更に造影剤を用いたMRIなどのプラーク診断 (図2)を追加することで治療方針を検討しております。

MRI (左):狭窄部の描出が低下 (黄)
造影CT (右):血管内腔の狭窄,石灰化を認めます

MRIを用いたプラーク診断
プラークが脆弱であることを示します
頚動脈内膜剥離術
全身麻酔で行う外科手術です。頚部の皮膚を切開して頚動脈を露出 (図3)し、動脈を切開 (図4)して病気の原因となっているプラークを摘出します。切開した頚動脈や皮膚を縫合し終了します (図5)。プラークを摘出することができるので、根治的な治療法であり (術前後MRI:図6)、再発率も低くなります。
頚動脈ステント留置術
局所麻酔で行うカテーテル手術です。頚動脈の狭窄している部分を風船カテーテルで拡張した後、金属製のステントと呼ばれる筒状のメッシュを留置し狭窄部を拡張します (図8)。局所麻酔で施行できるというメリットがありますが、プラークの性状が柔らかいものなどはメッシュ状のステントから逸脱する可能性があり、治療法として選択できない場合もあります。当科では上述のプラーク診断などで安全な治療法を術前に検討しております。