
中枢神経原発悪性リンパ腫
中枢神経系に限局したリンパ腫です。以前はそれほど多くなかった腫瘍ですが、近年増加傾向にあり、原発性脳腫瘍の4.9%を占めます。50歳以上で多く、男性にやや多い傾向があります。脳の中に染みこむように成長し、強い腫れを伴いやすいです。
手術
腫瘍細胞を全て摘出することは困難で、寿命を延ばす効果も期待できません。診断をつける目的で、病変の一部を摘出する生検術をおもに行います。
抗腫瘍薬治療・放射線治療
効果が高いですが、再発もおこりやすいです。このため血液内科と協力して、複数の抗腫瘍薬を組み合わせて行う強力なR-MPV療法などを行っています。また内服の抗腫瘍薬(チラブルチニブ塩酸塩錠)も使用されるようになってきています。放射線治療では、40グレイの全脳照射などが行われていますが、白質脳症という中枢神経障害を生じ、認知機能の低下等の後遺症を生じる危険があります。そのため最近では、強力な抗腫瘍薬治療で腫瘍細胞を殺傷し、放射線治療を避ける方法を選択することも増えています。再発しやすいため、治療後も定期的に画像検査で再発の有無を確認する必要があります。
放射線治療と抗腫瘍薬の使用前後の画像

治療前にあった造影剤で染まる白い腫瘍部分が治療後に消失しています。

治療前にあった造影剤で染まる白い腫瘍部分が治療後に消失しています。